【施術コンセプト】
脳神経外科や整形外科など、各科で体系的に区分された疾患の見方でなく、人の運動メカニズムを総合的にとらえた施術を展開していく考え方。個別性と環境、課題からその人の行動・動作原理を紐解いていくことで疼痛を取り除くだけでなく、楽に多様性のある動作の獲得と各関節疾患の将来的予防を図るコンセプト
【なぜコンセプトか?】
テクニックというより考え方。テクニックになってしまうと、そのテクニックに適した疾患と適さない疾患が出てきてしまうため、一人一人をより深く細かく診ていくことで出来る限り早く身体を良くしていく。
そのため、個別性を重視しており、身体機能・運動・姿勢・生活習慣等の問題においてその問題となる理由を明確にするためのプロセス。
整形外科疾患の後に中枢神経系(脳科学)による協調性の問題が生じるとして、それらを総合的に捉え、アプローチしていくための考え方。ボバースコンセプト、ヤンダアプローチ、AKA、PNF、筋膜リリースなど、その時の状態に適した施術方法を選択しながら個人の目標に向けた施術を行っていく
【コンセプトの特徴】
・神経科学に基づいた中枢神経疾患の臨床症状・姿勢・運動の解釈
(中枢神経系の協調性の障害としてとらえる)
・関節運動学に基づいた整形外科疾患の臨床症状・病期ごとのアプローチ
・疼痛を取り除くだけでなく、身体、生活をデザインすることによる再発予防と健康寿命の延長
【コンセプトの理念】
・常に実用的機能を追求する
・個別性を大切にする
・正常な運動の構成要素を治療に応用する
・感覚、知覚、行動適応の問題を常に運動障害と共に追及する
臨床推論(クリニカルリーズニング)
みなさんが抱える問題の原因、最適な治療方法、治療がどのように効果的であったか(効果判定)
問題解決の技術、推論、情報の分析または解釈の共有、治療内容や結果を予測
【評価→仮説→施術→検証→再評価…】
上記のサイクルを常に繰り返しながら良い方向へ導いていく。
専門的に診た本当の原因にアプローチ
診ているポイント
動作・運動分析
先入観を持たず目の前のありのままの現象を観察し、その本質について考えていく。現象学的アプローチともいう
・運動の質的要素
運動に質を与えるのは心
運動の質には身体的な要素と心理的な要素が含まれる
・床に接すること、正中線の安定、センタリング、呼吸、柔軟性が関与する
なぜ、そのように動くのか
主要問題は何か
代償は何か
主要問題と、それを解決する方法の関連性
アクションレベル(目的物へ)
運動レベル(パターンと構成要素)
神経モーター生成レベル(強度/協調性)
各評価を実施していく
動作・運動の質
多様的な目的や必要性に促されて発現する過程
目的に沿った運動を企画し、構成・組み立てる過程
外界の状況に合わせて再構成する過程
運動の出力段階でその出力を調整・調節する段階のどれをとっても複雑をきわめるというほかない
姿勢の対称性
効率よい選択的な四肢の運動(行為動作や食事など)は対照的な姿勢つまり正中線を基準(軸)に行われる
これができないと患者は姿勢調節のために四肢を使用しなくてはならなくなる
重心を移動させ、動作を我々は行うが再び正中に戻ってくる
正常運動との比較
普段何気なく自然に行っている目的を持った運動である→課題指向的、目的志向的
状況(環境)の変化や運動課題に対して運動を調整できる
遺伝的・先天的に有した能力が、発達・経験によって重力に抗した活動を続けるために獲得した選択運動を正常運動という
正常運動は協調性、効率そして機能的目標に関して必要以上に努力しないことで特徴づけられる
正常運動は目的志向的な感覚運動である
理想的なアライメント
理想的なアライメントは適切な運動を促通する
論理的な仮定は骨格分節性のアライメントが理想的であれば理想的であるほど、筋肉や神経系などのコントロール要因の性能がより最適であるといえる
姿勢が対象から非対称に変わるときはアライメントが必要
良いアライメントがあればどんな刺激にも反応できる。よってアクティビティが乏しいときはアライメントを見る
アライメントを作るためには筋、皮膚、関節などのつながりが必要
神経系や血管系の走行もアライメントの構成要素
脳の可塑性と姿勢身体図式
正常の身体図式:位置と機能のマッピングがある(使用している身体部位のマッピングエリアが大きくなる)
運動により(再)学習される
遺伝子情報(ジェノタイプ)、育ってきた環境要素(フェノタイプ)、身体アライメントや知覚情報変化(身のこなし、たちふるまい)により変化する
姿勢制御機構
姿勢緊張
相反神経支配関係
運動パターン
感覚・固有受容コントロール
姿勢コントロールメカニズム
スムーズで効率的な手段である姿勢セットから別のセットへ動くことができる
自動的なベールの上での動き
パターンの中での動き
自分自身の保護
機能的なスキルを得るために選択的な動きをすること
予測的姿勢制御
1967年ロシアにて立位姿勢で成人に上司を上げるように指示すると
姿勢筋(脚と体幹)と主動作筋(上肢)が両方とも活動したことを記録した
熟練した運動を安定して実行するために、予測的な手段で姿勢を無意識下で選択している
姿勢の再調整は予測運動行動によって予想される
随意運動の予測される妨げに対して身体を備える
フィードフォワード姿勢調節
準備的姿勢調節(pAPAs)は運動に100ミリ秒先行して生じる
随伴的姿勢調節(aAPAs)は運動時に生じるものであり、運動時に身体あるいは身体の部位を安定させるもの。
経験依存性であり、学習された反応である。フィードバックによって修正される
コアスタビリティ 腰腹部の安定性
コアスタビリティは「腰骨盤部の健康のために脊柱への負荷を最小限にし、末梢の機能を裁断源にするための最適な中枢の安定」と定義され、筋骨格学やスポーツ科学で多く議論されている。
体幹の深部筋である多裂筋、腹横筋、腹斜筋からなる筋群の同時活動をいう。大腰筋後部繊維も加わる。
コアスタビリティは統合されたアスレチック活動の中の体重移動と力のコントロールと末梢部位の運動を最適化する。
骨盤を超えて動く体幹の姿勢と動きをコントロールする能力。
これらの筋群は皮質神経支配が少なく、姿勢神経支配が高度に発達している。
筋連結
隣接する2つの骨格筋において、それぞれの筋繊維の先端同士が
腱、各種の筋膜、筋間中隔、骨間膜、関節包または靭帯を介して接続すること
連結している筋の一方の張力が他方の筋の張力や位置移動に直接影響を及ぼすと考えられている
支持基底面と質量中心
身体各部や他の部分がBOSに適応した状態で相互に作用しあっているとき常に身体各部の支持面は接触している。
身体を支えられる幅と重心位置はバランスに密接な関係性を持つ
運動学習過程
運動学習は、個体が新しい運動パターンや動作を習得し、改善する過程を指す。
このプロセスは、神経系と筋肉系の協力によって成り立っている。
感覚入力とフィードバック
運動計画の形成
反復と強化
神経可塑性
内部モデルの構築
上記プロセスの中で質の高い動作の再学習が促進される
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